小麦、トウモロコシ、大豆、ココア。先物商品の今後はどうなるのか。

最近、さまざまな先物商品が現在世界で起こっている様々な事柄によって多かれ少なかれ影響を受けているという見出しを目にする機会が増えています。地政学的観点から気候変動にまで、あらゆるものが主要商品の価格に大きく影響しています。それらのいくつかをピックアップし、短期的な見通しのさまざまなシナリオをみていきましょう。

小麦

ウクライナでの戦争が始まって以来、小麦は大きな話題の一つとなり、少なくとも週に何度もニュースで目にする機会が増えました。戦争が始まる前は、穀物の生産地で干ばつや洪水が起きたときにこの商品が価格や供給に影響を与えていました。基本的に、小麦の供給は主に自然災害によって影響を受けます。しかし、2022 年 2 月末から状況は変わり、世界は人的要因により小麦の世界供給に対する脅威を経験しました。

しかし、小麦のチャートを見ると、2022年3月上旬をピークに価格は下落傾向にあり、時折一時的に急騰していることがわかります。短期間の変動は主に地政学的不安定と、この穀物の世界最大の供給国の一つである両国の紛争国家間の緊張から生じました。しかし、価格が上向きに進路を変えるたびに、すぐに天井をつけて再び下落しました。これは、自然災害が発生していないため、小麦の供給に実質的な不足がないという事実によって説明できます。さらに言えば、小麦の供給を遅らせるという、交渉材料などの脅威が続く可能性もあります。しかし、すでに収穫が終わってしまった場合、小麦を倉庫に眠らせておくわけにはいきません。それは現在戦争需要に向けられている彼らの主要な国民収入源の一つであるため、彼らはそれを売らなければなりません。

テクニカルな観点から見ると、価格は今年初めからおよそ570ドルから800ドルの間の範囲にある2021年の水準に戻ったことがわかります。現在、日次チャートでは価格が50日、100日、200日EMAを下回り、今年の現在の安値である570付近に近づいていることがわかります。

より低いレンジに注目を移すためには、2023 年の現在の最低点である 573ドル 付近を突破する必要があるでしょう。そうすれば、より多くの売り手が参加し、おそらく2020年の最低点である471ドルか、2019年の最低点である419ドル程度で着地する可能性もあります。

800ドルの地点を上回れば、今年の新高値が確定し、さらなる高みへの扉が開かれる可能性があります。その時に、2022年10月の最高点をマークとする950ドルゾーン、または1027ドルレベルを目指すことになります。この水準は同年６月１日以来の安値でもあります。

とうもろこし(コーン)

6月末、トウモロコシ先物相場は大打撃を受け、約670ドルから474ドルまで下落し、わずか2週間でほぼ30％下落した。これは、米国の天気が予想よりも良いという予報が出始めたためです。その後、ロシアが穀物協定から離脱したため、価格は50％回復しました。しかし、7月末にはトウモロコシの価格が下落し始め、トレーダーらは米国の良好な天気予報を考慮し、それが供給増加につながる可能性があると考えられました。この状況が続けばトウモロコシ先物に安値圏が出現する可能性がある。

最近のトウモロコシの価格は 2023 年の過去最低価格である 474 ドルを下回り、短期的な見通しが弱気であることを示しています。このような動きは今後の安値を裏付けるものとなり、強気派を一時的に怖がらせて市場から遠ざける可能性があります。その後、トウモロコシは2020年11月の最高値である439ドル付近まで上昇する可能性も想定できます。とはいえ、まだ買い手が見つからない場合、価格はさらに下落し、おそらく2020年11月の最低点である393ドルを狙う可能性があります。

私たちがより高い領域に関心を移し始めるには、少なくとも短期的には、7月の最高値付近にある564ドルの壁を超える動きを見る必要があるでしょう。この領域を突破できれば、さらに買い手が集まり、価格が心理的な600ドルの壁に向かって、あるいは2022年10月7日の高値から取られる中期的な下値抵抗線にまで引っ張られる可能性があります。

大豆

皆さんご存知のとおり、大豆は日本と中国の文化において、料理の主要食材の 1 つとして非常に頻繁に使用されています。しかし、大豆の主な生産者は、主要な消費者から海から離れた場所にあります。大豆生産国のトップ5はブラジル、米国、パラグアイ、アルゼンチン、カナダです。

2022年6月のピーク以来、この商品の価格は下落しています。今年の7月末に先物商品価格は急激な下落を経験しましたが、これは当面の上昇をサポートするものではないでしょう。最近の価格下落は、米国の気象条件の改善に関連しています。先物商品にとっては、より穏やかでより好ましい状況が予想されています。これは、当初の予想どおり、供給が減少することはないが、必要以上に供給が増加する可能性があることを意味します。これに加えて、現在の中国経済の減速も大豆の需要全体に悪影響を与える可能性があります。直近の中国からの輸入量もさらなる減少を示しており、これも需要低下の根拠となる可能性がある。

日足チャートで大豆の価格構造を見てみると、2022年6月中旬頃に相場が南に反転したことがわかります。それ以来、買い手は価格を引き上げようとしましたが、それに近づくことができませんでした。最近の大幅な下落の後、価格は現在、今年の現在の最低点、1270ゾーン付近に近づいています。

目先の見通しはやや弱気側にあるように見えますが、下値を検討する前に、まず前述の1270ゾーンのブレイクを確認したいと考えています。このようにして、今後の安値が確認され、一部の安値圏への道が開ける可能性があります。そのとき、我々は2021年11月の安値である1181を目標とし、これを突破すれば2020年12月の安値を目印とする1142レベルへの扉が開く可能性がある。

再び高い領域を目指すには、7月7日のインサイドスイング安値でマークされた1425ハードルより上のどこかでプッシュを待つことを好むでしょう。この上昇が見られれば、より多くの買い手が参加し、価格が今年の現在の高値付近にある1555ゾーン、さらには1580レベルに向けて急騰する可能性がある。

ココア

ココアは、私たちの心にポジティブな気持ちを呼び起こしてくれる商品です。これは、チョコレートから作られる最もおいしい食品の 1 つがチョコレートだからですね。しかし、おそらく、そうした前向きな気持ちが湧かないのは、カカオ作物に影響を与える可能性がある問題について聞いたときでしょう。そしてこれは、価格が反転する7月末頃までずっと聞かれてきたことです。さまざまな天気予報が穏やかな状況を示し始めた後に相場は調整が行われました。これは、最近の供給減少への懸念が当初の予想ほど大きくない可能性があることを意味しています。それに加えて、最近、アジアココア協会とヨーロッパココア協会は、第2四半期のココア加工量が減少したと報告しました。一部の大手チョコレートメーカーもチョコレートの売上高が若干減少しているとしています。

カカオ作物は非常に脆弱であることを考えると、雨が多すぎたり、乾燥が強すぎたりすると、短期的な見通しがすぐにネガティブな状況に変わる可能性があります。また、カカオ作物は病気にかかりやすく、カカオの供給に損害を与える可能性があります。今のところ、市場は良い天気予報が価格を少し下げるのに役立つ可能性があるという観点から動いています。基本的には、現在は調整相場と言えるでしょう。

先述ではすべて、当社の短期的なテクニカル観点からの見通しと一致する可能性があります。日足チャートを見ると、2022年9月末頃からココアは2022年9月26日の安値から引いた中期上昇ラインを上回りながら力強く上昇していることが分かります。下落により、別の買いが入る前に大幅な調整が行われる可能性が高まりました。

6月28日の安値付近で7月の安値に近い3,260ドルのハードルを下回ると、より多くのトレーダーの目に売り関心が集まる可能性があります。その後、ココアは前述の中期的な上昇ラインまで上昇し、最初のサポートラインとなる可能性があります。このラインが維持されれば、買い手は価格の下落を利用して、7月に見た水準に向けて再び価格を押し上げる可能性があります。

あるいは、中期トレンドラインのブレイクはさらなる下落を示唆し、当面は強気派の参入が阻止される可能性があります。その後、カカオ価格は5月の安値である2,858ドルまで下落する可能性があり、これを突破すれば2,699ドルまで上昇する可能性があります。この水準は1月の最高値となります。